「新しい釣漁業の技術」山下楠太郎
126/194

なります。勿論船内にはその漁場の魚群の生態、海況、天候等に合せるべく、ゴールデンベイトの各色や予備の漁具を用意して、その日その日に、又、時間と共に変る、漁場の漁況に合せるように、道具を用意すべきであります。魚群の状態や漁場、海況、天候により、擬餌の色や大きさ、道具の延べ方、船の速度、操作などを工夫し研究しますと、他の人の二倍も三倍も釣れる結果が得られます。又、中層曳に熟練してきたならば潜水板を二枚、三枚と使用して底魚類をねらう時や魚が下層にいる時などに二段曳漁法も体得されれば、地方によってはよい結果が出るものと信じております。128かす擬餌には、やはり他の魚も競争心を燃やしてよく喰いつくわけであります(その為に枝糸の太さを五本に一本位、特に細いものをつけることもある)このようなわけで、山下式魚群誘導中層曳細漁法は、学理と実験の成果がもたらす最も高度な技術と.内容を保持している曳細漁法であります。各地で実地指導を行なっておりますが、丁度、魚がまわって来ている漁場で実験してみますと、同乗している漁業者の方々がびっくりする程、魚がぞろぞろ枝にぶら下って来ます。道具を上げる回数が少ないので大して釣っていないとおもって、後で勘定をしてみると、思ったより沢山獲れています。ロケット(ダボ)などの水面曳きの漁具を使用している地方では、朝夕の日光の少ない時には釣れるが、日が出てくるとぽつぽつしか釣れなくなる。しかし、山下式漁法でやりますと、早朝は比較的上の方に、日中には潜水板の下の方に、魚がかかる。それぞれ魚の喰ってくる深さ(棚)に道糸の長さを加減することが出来るので、早朝、日中、夕方と変りなく魚が釣れることに

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です