「新しい釣漁業の技術」山下楠太郎
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仙北洋鮭鱒延縄の改良毎年春になると日ソ漁業協定が水産界を主軸に人々の話題にのぼり、昔は安い魚、大衆魚と親しまれていた鮭・鱒に、今更のように感慨が及ぶのであります。今年も四月一一一十日から六月三十日迄、わずか六十日間の間に、定められた漁場で、しかも漁獲量制限の下に、朝夕二回の操業を余儀なくされ、激しい漁携活動が行われました。鮭・鱒延縄も、他の漁業と同様に乗組員の不足、漁獲量の減少、航海日数、操業回数の延長等、年々その漁業経営も妙味をうしなってきつつあります。延縄の漁具の規制は、仙枝糸の太さ○・五一三糎(テグスにして、号以上)、②枝糸の長さ一メートル以下、③枝の間隔二・二七メートル以上、倒縄一本に対する釣針数四十九本、となっています。第七章近海延緬漁法の改良52漁業一途にその人生を生きぬかれた氏が、最も苦慮されていることは、最近の鮪漁業の零落、沿岸漁業の不振ということと、次代を背負う若人が海をみすてて岡に上ってしまうことであります。海の若人よ。日本男子よ。奮って海を志ざそうではありませんか。海には無限の資源が、今なお静かに眠っているのであります。私は寺島氏と共に、そう皆さんに呼びかけたいのです。

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