「新しい釣漁業の技術」山下楠太郎
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船くりをたたいて魚を集める漁法は現在でも行なわれているし、千葉県のタイのボコ釣りは特別な錘に縄をつけて海面に投げ込み、タイを集めたり、又はカツオを海中から浮上させるのに角で水面を8の字に画いたり、カシオ釣りの撒水や、竹竿で水面をたたいたりするのも音の漁法であります。静岡の伊東やその付近ではこれとは逆に、魚l例えばイルカの嫌いな音を海中に伝達させ、逃げるところを網に追い込んで、手かぎで船中に取り込んでいるところもあります。青森の日本海側東部ではツナに金属類やトタンやカンズメの空缶など沢山ぶらさげて、タイやその他の魚を網に追い込んでいたところもありました。アフリカのナイジェリア地方には、ヤスリに釘や骨をこすり付けて音を出し魚を集めているところもあります。音による漁法とい『ても、魚の好む音で魚を集める方法と、魚のきらいな音で魚を驚ろかせて網に追い込む方法との一一通りがあります。コイなどについ61気絶したり、ショックで逃げたり、反対に誘い寄せられたりするわけで、ソ連の国立科学研究所が開発しました一一やはり直流電極を使用し、陽極と陰極を水中におろして適当な電流を通し電場を作ると、この電場の魚は陽極に突進して気絶して水面に浮き上るので、それを網ですくい上げるわけです。又、カムチャッカ半島の川では陽極のショックで浮上したサケ、マスをポンプで吸上げてしまうことも、やられているようであります。しかしながら、海水での実用となると、淡水の場合とは原理は同じでも技術的にむずかしい面が多く価格の割り高な点などもあって一般的なところまで達するのは、可成り先のことでしょう銅又、資源保護の点や、他の魚に及ぼす影響等も考えてみなければならない問題であります。②音波による漁法海水中、又は淡水中、共に音波の伝導は空気中より早いことは前記の通りであるが、昔から音を利用した漁法は多いのであります。

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