「新しい釣漁業の技術」山下楠太郎
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ナイロンの釣糸は、結び目がきれたり、ずれたりしてなかなか結ぶのに研究を要します。又、ナイロンは磨擦により熱を持ちやすい。折り曲げるようにして結ぶことは絶対にやめた方がよい。なんといっても、第一にずれないように結ぶことが大切であります。そこで私の秘中の秘である糸の結び方を図に従って六種類、紹介します。④テグスとテグス。ずれを防止し、磨擦をなくして、結ぶ目同志がしっかり抱き合い、強力さの点で他の結び方をはるかに上まわる。⑧つぼとテグス。特長は④の方向に引張ると元の状態にさばける。いろいろのところに利用が出来るが、特に擬餌を取替えたりする時、釣針のつぼとテグスをつなぐところに使用すると便利であります。○道糸に技糸をつけるとき。道糸には絶体に結第十一章山下式の糸の結び方75が掛ったことが判かる。例三本組テグスの前述の特長を如何なく発揮してくれる。⑤ブイが、船の航行に伴ない、もつれを防ぎ、一一本の漁具があつかいやすい。⑥ブイの後につけられた予備の三本組テグスで自由に魚の棚に漁具をとどかせることができる。⑦潜水板の大きさの違いにより幹糸のたち方、技糸のさばけが違う。以上のような利点によって、このように漁獲の差がついたのであります。この新しい漁法を、改良棚探し中層曳細ブイ漁法と名づけました。改良研究は時を待たず、直ちに行なわなければならない。跨曙は発明改良の敵である。新しい漁具漁法を大胆に試みてみることが、いかに大切であるかを、今さらの如く考えさせられました。

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