「新しい釣漁業の技術」山下楠太郎
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あとがき183この書を通してお話しました山下式漁法及び漁具は、長年に渡る漁業の経験と、学理とを結びつけ、それに漁業の科学化、省力化という意味を加味したものであります。今後の漁家経済を豊かにし、若い世代の心に、新しい漁業に対する関心と研究心を喚起し、不漁と過酷な労働に日々を送る僻地の漁業者に何等かの光明を与え、これからの沿岸、沖合、遠洋の、各漁業の振興と繁栄に少しでも役立てたいという目的で研究され、開発されたものばかりであります。乱獲だ、資源の減少だ、と騒がれていても、やはり日本人は、その栄養源の大半を海からの資源によって賄うほかはない。水産資源は国民生活にとって欠くべからざるものである。今日叫ばれている省力化は断じて漁業の後退の方向に向かってはならない。人手を少なくしても、機械力を駆使し、能率化して、今日迄以上の漁獲量を確保して行かなければなりません。この拙い研究が、いささかでも漁家経済の向上に役立ち、そして、漁業を志ざす若人達の心に、明日への勇気と希望の光を植えつけるならば、私の喜び、これに過ぎるものはありません。終りに臨み、本漁具漁法の開発にあたり、協同研究、ならびに、御指導御協力をいただきました、水産庁研究第二課黒田竹弥先生、中森正元先生、水産庁漁船研究室横山信立先生、間庭愛信先生、西村実先生、東海区

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