「新しい釣漁業の技術」山下楠太郎
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38漁具の色は、海中に潜った経験のある人ならばお一分りの様に、保護色の関係からすべての魚はその環境に自分の体色を合せております。そして時折り魚プラスチック製弓角・サワラ,ブリ,メジ,カツオ用。そして時折り魚が曲りくねって泳ぐ時や、何かに驚いて身をかわす時などキラリキラリと肌が光って見えるのであります。色の鮮明な南海の毒魚や一部の魚を除いて、大多数の魚は周囲の環境と保護色をなして泳いでいます。魚の餌として最も好んで食べられるシラスやエビ、イカ、廻転にまわり、きらきらと光り輝き、海泳音を沢山発している弓角やスプーン(曳細用擬餌)にはその餌の固さにも関係なくよく喰いつきます。餌魚が大魚に追い廻され、右往左往して逃げまわる様に餌をあやつり動かすことがコツであります。餌のあやつり方一つで大漁や不漁になるわけです。延細の場合も同様で海の自然に合うように、擬餌が潮流を受けてひらひらと、背中を上に腹を下に、柔かく動くように仕掛けなければなりません。切身の場合でも、よく出刃の背でたたき、びらびらにして、柔かい波音を立てるようにして釣針につけるべきでしょう。要するによく動くように、そして海の自然とよく適合する様に、漁泳音、波音をよく出すように、仕掛ける事であります。餌になる色の点については前にくわしくお話し色と光しましたが、もう一度、餌の色につき考えてみましよう。

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