「新しい釣漁業の技術」山下楠太郎
8/194

と考えます。釣漁業のよい点は、何と云っても生きている魚を即座に船内にはね込み、生きたままの状態で鮮度よく水揚げ出来ることであるといえます。鮮度をよく保てば魚価も高く漁業者の経済もおのずと向上がはかられて行くのです。私は多年にわたり沿岸漁業、遠洋漁業に従事して参りましたが、その間、魚とは一体どんなふうにして餌に喰いつくのだらう?魚は何故、擬餌に喰付くのだらう?魚は何によって遠方より餌のありかを知るのだらう?又どうして魚は群をなして回瀞するのだらう?といった種々の問題に疑問を持ち、色々の研究や体験をしてまいりました。その後、事情があって船を降りた私は、この貴重な体験を基礎に「魚の生態、魚の習性に合った漁具漁法」を、自分の手で開発しようと決意しました。幸い水産日本には、有能な学者が多数おられる。その学者の理論に自分の体験を加えてつくりあげたのが「音と光の山下式漁具漁法」であります。こうして今日迄、私は、日本の遠洋、沿岸漁業の各地を百数十か所になんなんとする程、巡回し、各地で漁具漁法講習会を開催し、技術の交流、漁業技術の向上、漁業者各位の洗脳教育にと、微力ながら努力してまいりました。今回、種々の方々のお推めもあり、又、漁業者各位の御希望もありますので、拙い研究ながら

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です